インフルエンザと薬
今シーズンのインフルエンザは猛威をふるい、東京都における定点医療機関からの2024年12月16日から12月22日(第51週)の患者報告数が40.02人となり、5年ぶりに都の警報基準を超えました。同週の休校は138校、学年閉鎖が1251、学級閉鎖が4411クラスとなり、いかに流行していたかがよくわかります。2025年に入り、1か月が経過しようとしているなかで、2025年1月13日から1月19日の週は休校23校、学年閉鎖379、学級閉鎖1092クラスとなり、ピークから比べると落ち着きがみられてきました。
とはいえ東京都においては依然として注意報レベルで感染が見られている状況です。12月には爆発的な流行に伴って、一部メーカーのインフルエンザ治療薬の供給が停止したり出荷調整となったりするほどの事態となり、不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
今回はインフルエンザの治療に使われる薬やその違い、検査と予防について紹介していきます。
〇種類と違い
まずインフルエンザの治療薬にはいくつかの剤形(薬の形)があります。
大きく分類すると口から飲むタイプ(内服薬)と口から吸うタイプ(吸入薬)、点滴するタイプ(注射薬)です。
内服…タミフル🄬(オセルタミビル)、ゾフルーザ🄬(バロキサビル)
吸入薬…イナビル🄬(ラニナミビル)、リレンザ🄬(ザナミビル)
注射薬…ラピアクタ🄬(ペラミビル)
さらに内服のタミフル🄬はジェネリックを含めると錠剤、ドライシロップ、カプセル剤が選択できます。
また使用回数も薬によって異なり、1回吸入するだけで済むものがあれば、1日2回5日間飲まなければならないものなど様々です。
〇時間とのたたかい!?
これらの薬は「身体の中のウイルスがこれ以上増えないようにすることで症状を改善」します。
そのため、ウイルスがたくさん増えたあとだと効果はなくなってしまいます。
ですから、症状が出てから(発症してから)48時間以内に薬を使用する必要があります。
一方で、検査キットで正しく結果を知るためには、はじめて症状が出たあと12時間を過ぎてからの検査が望ましいので、症状が出てすぐに病院に行っても正しい結果が得られないことがあります。
これは検査キットでウイルスを検知するためには一定以上のウイルス量が必要となるためなのですが…薬を開始するタイムリミットもあるため受診タイミングが難しく感じてしまいますね。
症状が出たあとも解熱薬などの対症療法で様子を見ることができるようであれば、最低12時間は待ってからの受診をおすすめします。
〇予防ってどうしたらいいの?
インフルエンザの症状でよく見られる高熱はなかなかつらいものがありますよね。
そんなつらい思いをしなくていいように、そして身近な人にうつさなくて済むように、予防も大事にしていきましょう。
- まずは正しい手洗いを!
生活のなかで、さまざまなものに触れている手です。気付かないうちにウイルスも触っているかも…。そんな手で顔を触ったり、食事をしたりしたら、あっという間に身体に侵入されてしまいます。
・帰宅時、ご飯を作る前、食べる前などこまめに
・石鹸をつかって
・指のあいだや手のひら、手の甲を意識して手洗いをしていきましょう!
- マスクや咳エチケット、心がけていますか?
インフルエンザウイルスは接触感染と飛沫感染の2つの感染経路があります。
感染者がくしゃみや咳をすると、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出されます。これを吸いこんで感染することを飛沫感染といいます。
マスクや咳エチケットを心がけることで、飛沫感染の可能性を下げることができます。
自分に症状があれば、他の人にうつさないために。
症状がなくても、自分を守るために。
マスクや咳エチケットを習慣にしてみませんか?
- ワクチン接種をしましょう
流行前であればワクチンの接種も考えましょう。
インフルエンザワクチンを打つことで、発症の可能性を減らしたり、重症化を予防したりすることが期待できます。
接種してもかかるなら意味がないからいいや!と考える方もいらっしゃるかと思いますが、たとえ罹ってしまったとしても、肺炎や脳症といった重症化を防いでくれるかもしれないというのも大事な見方ですよね。
予防しながら健康で元気に冬を乗り越えていきましょう!
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